中国人民解放軍とは
中国人民解放軍は、旧式兵器の体制から新型兵器を配備する体制へと急速転換しています。
現在、習近平指導部の軍改革によって、海軍や空軍の存在感が急激にアップしました。
海軍は国産空母山東やそれに続く国産空母の建造を進捗させています。
今や中国は空母や駆逐艦約80隻、潜水艦約60隻を所有しています。
空軍については、初の国産ステルス戦闘機や第4世代、第5世代の戦闘機約1000機保有しているのです。
習近平国家主席の防衛方針は軍の強化に重きを置いています。
このことが人民解放軍の改革に強く影響していると思います。
習主席は、再三再四中国が内外の敵からの深刻な脅威に晒されていると主張し続けてきました。
それゆえに人民解放軍は戦争に備え、戦争に勝つ準備をしなければならないとしているのです。
大変革の中で、これまで人民解放軍は、人工知能、極超音速滑空機、高出力マイクロ波兵器、レーザー兵器、衛星航法、無人航空機、量子通信などの分野において新たな技術的成果を達成しました。
さらにサイバー戦争、電子戦争、宇宙戦争、および共同作戦における能力も発展させてきたのです。
このような進展は、将来において紛争が発生した際に、人民解放軍には有利になると判断しているようです。
一方、国際社会の場では、米国は中国の台頭に対して非常に危惧し、中国の影響力の拡張に対して色々な策を取り始めています。
中国人民解放軍の歴史的考察
中国人民解放軍の歴史を垣間見てみたいと思います。
日中戦争後、国民党と中国共産党が内戦状態の期間中に共産党軍は反撃に転じたのです。
1947年3月24日になって中国人民解放軍と改称したのです。
一斉に反攻に転じた中国人民解放軍は、最初の1年間で兵力を280万に増大しました。
さらに1949年末までに中国本土を人民解放軍が占領して、1949年10月1日に中華人民共和国を建国しました。
今話題の台湾に関しては、中国共産党は台湾解放をめざしたので、台湾の国民党と緊張が続行しました。
そしてついに1958年8月23日に人民解放軍は金門・馬祖に砲撃を開始したので、台湾海峡危機が深刻化していきました。
中国人民解放軍と対米関係
中国がミサイルを発射すれば、米軍の艦船が紛争海域に接近することはほぼ不可能になります。
中国が台湾に武力行使をちらつかせる状況はアメリカの戦略に脅威を与えているのです。
米国のインド太平洋軍は、中国のミサイルに対抗して、米軍を分散させる一方で、沖縄から台湾、フィリピンを繋ぐ第一列島線にある同盟国を効果的に活用しなければならないとしているのです。
現在、中国が唯一恐れるのは米国です。
中国は、自国のGDPが米国のGDPの60%超になれば、米国は必ず中国の障害物になると考え、軍事力もあえて含まれるとしています。
2019年7月の中国の国防白書において、智能化を加速すると記述されたのです。
智能化とは情報化にAI(人工知能)やビッグデータを融合して高度に自動化された武器体系および運用を意味しています。
現実的に米国の武力行使があると考える中国指導部は危機感を持つのは当然かもしれません。米国も、中国の長射程攻撃兵器の第1撃を避けるために、空母や戦略爆撃機など軍事設備の分散配備を進め、機動力を向上させる方針です。
現在の米中間の紛争可能性の高いのは台湾であるが、仮に中国が台湾に武力行使しても米軍が容易に接近する可能性は低いのです。
中国人民解放軍が日本にもたらす影響
2012年日本政府による尖閣諸島の国有化以降、中国公船がほとんど毎日のように尖閣諸島周辺で活動しています。
中国人民解放軍が部隊を上陸させて尖閣侵攻すれば、日本とアメリカ両国を相手に全面衝突を覚悟しなければならないし、国際社会の支持もゲットできないでしょう。
中国はこのような軍事力行使以外の方法で実効支配を目指していくでしょう。
尖閣諸島については、日本相手の軍事力を容易に使えないことを中国は理解しています。
武力や武器の使用は最後の手段として温存しておき、法律戦で尖閣諸島を取り込む根拠となるのが海警法なのです。
直接的な軍事力行使ではなくて、サイバー攻撃も中国人民解放軍によるものだとの指摘もあります。
2016年にJAXAなどに大規模なサイバー攻撃を中国人民解放軍が指示したとのことです!
JAXAすなわち宇宙航空研究開発機構だけでなく、防衛関連の企業や約200もの研究機関や会社が大規模なサイバー攻撃を受けたそうです。
日本の警察当局の捜査によると、中国人民解放軍の指示を受けたハッカー集団によるものとみられることが判明しました。
警視庁は、日本に滞在していた中国共産党員の男がサイバー攻撃に使われたレンタルサーバーを偽名で契約したとして、20日にも書類送検する方針です。
サーバーを使うためのIDなどは、オンラインサイトを通じて「Tick」とよばれる中国のハッカー集団に渡ったということです。
また、中国人民解放軍のサイバー攻撃専門の部隊「61419部隊」に所属する人物が指示する形で、別の中国人の男も日本で偽名を使いレンタルサーバーを契約していたことが分かりました。
レンタルサーバーを契約した2人は、すでに出国していますが、警視庁は不正な行為を確認したとして、このうち30代の中国共産党員の男を私電磁的記録不正作出・供用の疑いで書類送検することにしています。
中国人民解放軍と台湾統一
中国の習近平国家主席は、再三台湾統一を目指すと広言しています。
中国人民解放軍が台湾侵攻すれば、数万人の戦闘被害を出しかねないのです。
大被害が出たら、中国国内の世論をコントロールするのは難しくなり、共産党政府の内部崩壊を生じる可能性もあります。
あるいは台湾に対して、大量の弾道ミサイルで都市攻撃するという蛮行を犯せば国際社会が怒り心頭に発し、非難轟々間違い無しです。
それゆえに、軍事行動の代わりにインターネット、台湾国民党系新聞、などメディアを使い心理戦を仕掛けています。
台湾国民に揺さぶりをかけ、少しずつ中国共産党に恭順させようとしています。
まとめ
習近平国家主席は、中国人民解放軍の軍備を強化すると同時に軍事組織機構を大きく改革しました。
2017年の中国共産党第19回全国代表大会前後の人事異動によって、中央軍事委員会を習近平国家主席の最側近で固めたので人民解放軍を完全に掌握したと言えます。
彼は今後どのように軍を統制していくのでしょうか。
全世界注目の的だと思います。