中国の軍事力とは
中国の軍事力は今や米軍に迫りつつあります。
日本にとっては、隣国であるだけに無視できない状況です。
中国軍(正式名称・中国人民解放軍)の勢いは止まらず急激にその力をつけつつあります。
2021年7月1日の共産党創立100年式典では第5世代ステルス戦闘機「殲20」を披露誇示しました。
兵器は徐々に近代化されつつ、中国共産党に忠誠を誓うという根底は揺るぎないものがあります。
共産党の軍隊は最先端技術を導入しつつ、米軍を凌駕するような勢いを感じさせます。
中国軍は1979年の中越戦争の後は、本腰を入れた戦争経験がありません。
軍歴無しで最高指導者に登りつめた江沢民や胡錦濤の指揮下で、戦わない軍となり当然の如く腐敗賄賂が蔓延し汚職がはびこりました。
そして、2012年に胡錦濤氏の後継者となった習近平党総書記(国家主席)は、軍政改革に着手したのです。
習近平氏は反腐敗闘争をキャッチフレーズにして、多大な影響力を行使していた陸軍出身の2人の中央軍事委員会副主席(制服組トップ)経験者達を更迭しました。
習近平氏は21世紀半ばには世界一流の軍隊に中国軍を変貌させ、統合作戦能力を強化しようとしています。
習近平指導部は昨秋の重要会議で、軍創立100年に該当する2027年に奮闘目標達成方針を決定しました。
中国軍は米軍に対して実力不足と経験不足を補填するために手段は選ばないようです。
中国軍が取り組もうとしているのはAIを使用したり脳科学を応用した新技術です。
2021年5月13日付の解放軍報によると、兵士の大脳と兵器や情報システム等が連結した人造人間のようなもので敵攻撃するという構想を出したようです。
民主主義国家では、人造人間やサイボーグのような技術の軍事利用は倫理的制約が当然あります。
しかしながら、中国では共産党が決定すればそのような倫理的規制は受容しません。
中国軍は米軍より新技術を素早く兵器に使用して米軍より優位になろうとするでしょう。
中国の軍事力と対米関係
中国軍と米軍について考察してみたいと思います。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、米国の軍事費は世界最大であり、第2位の中国は大きく引き離されているとのことです。
しかしながら、中国は20年以上に渡って軍事費を徐々に伸ばし、今年は前年比6.8%増と発表しています。
米国の専門家は中国と同じペースの軍事費にすべきだと警告しています。
総兵力とミサイルでは中国が優位にありますが、地上軍、空軍力、海軍力、核弾頭では米国が優っているようです。
現段階では、まだ米軍の方が中国軍より優位なようですが、今後逆転する可能性が無きにしも非ずだと思います。
中国の軍事力が日本にもたらす影響
中国軍と日本の自衛隊を比較考察したいと思います。
近年、中国は軍事力を増強し続けています。
特に海軍力の強化に力を入れており、中国の国産空母も就航させました。
中国メディアの快資訊は最近になって、中国海軍と日本の海上自衛隊を比較する記事を掲載しました。
「日本の海軍力は中国に遠く及ばない」と主張しながらも、日本の科学技術力や経済力は今でも軽侮できないので、中国はあらゆる事態を想定して日本の戦力に対抗できなければならないと記事は主張しています。
この記事において、中国の海軍力がいかに優れているかと自信を見せながら、日本に対しては過去の歴史を踏まえて、警戒しているようにみえます。
やはり、中国にとって日本の存在感は軽視できないのでしょう。
中国の軍事力と台湾統一
中国と台湾との関係が随分キナ臭くなりつつあります。
台湾側は、かなり神経質な感じになっているようです。
日本列島から台湾そしてフィリピンを結ぶ第1列島線の西側のあらゆる場所で通信阻止できる中国はソフト面やハード面両方の電子攻撃を仕掛けることができるようです。
中国はインターネット軍と連携して世界のインターネットに有線・無線の攻撃ができるので、台湾の防空能力や制海権や反撃システム能力をまひさせるので、台湾側に多大な脅威です。
また、中国は「北斗」中国版GPSを使った偵察能力も発展向上させています。
これは中国が偵察機やドローンや情報収集艦の定期的な展開によって、台湾周辺の動向を監視できることを意味するのです。
台湾側には、このような中国軍の動きに対応できない状態であることが露呈しています。
習近平国家主席が終身独裁を決めるためにも台湾侵攻は効果的だと見ている節があるようです。
しかしながら、このような台湾武力統一を阻止しようとするのが米軍です。
おそらく2027年をひとつの転換期として見ているのではないでしょうか。
それは2021年3月9日の米上院公聴会でアメリカのインド太平洋軍司令官デービッドソンが「中国は解放軍建軍100周年の2027年までに台湾に侵攻する可能性がある」と発言しているからです。
中国の軍事力の歴史的課題
中国軍について歴史的な考察をしてみたいと思います。
中国の軍は歴史上、位置付けが非常に難解なテーマでした。
国が軍を丸抱えすると、財政破綻をきたしかねないし、地方の意のままに任せては内乱の遠因になりかねないのです。
国土が広く、北方や西方の異民族との紛争が断続していた中国は、ある程度の軍隊が不可欠でした。
強力な直轄軍を編成するのは皇帝には理想的なものだが、巨大な経費と民に対して大きな負担をかけ深刻な社会不安を招来する危惧があります。
一方、各地の有力者に軍の維持運営を任せると財政的には楽になるが、皇帝の権威が弱体化し内乱の恐れが出てきます。
近代史の上で軍閥なるものも、そのような中国独有の私兵の流れにあると判断できます。
中国歴史上、政治と軍との関係はいつも微妙な均衡の上で成立してきたのです。
実際のところ、現在も中国には国家の軍隊が存在しないとも言えます。
中国共産党が指揮する人民解放軍は、党の私兵と言っても過言ではないと思います。
近代国家の国軍の常識が該当するわけではないのが人民解放軍です。
まとめ
以上、中国の軍事力について様々な視点から考察してきましたが、着実に中国は地歩を固めつつ匍匐前進しているように見えます。
今や中国は名実ともに米国と肩を並べ、日本にとっては日露戦争以前のロシアのような存在で恐露病と昔言われていましたが、恐中病が日本全体に瀰漫しつつあるようです。
しかしながら、米国と中国の国防費にはまだ3倍以上の開きがありますが、米軍は広く薄く世界中へ展開されているのに対し、中国軍は中国周辺の安全保障だけに集中できるのです。
中国外交筋の分析によると、台湾周辺に限定すればすでに米中の実力は逆転していると強弁しています。