中国のDXとは
中国の急速なデジタル化は目を見張るものがあります。
BATHと呼ばれる、中国の大手企業4社(バイドゥ・アリババ・テンセント・ファーウェイ)が牽引者となり、中国社会そのものをデジタル化に転換させています。
最近の中国においては、若者から熟年層まで幅広い世代の生活の中でITが行き渡っています。
スマーホによるQRコード決済が普及して、ネットショッピングやデリバリーが当たり前のことになっています。
2019年の世界の消費者意識調査によると、中国のモバイル決済比率は86%で世界1位です。
中国人は携帯無しの生活はもうあり得ないと思っているようです。
それに対して、日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)は業務効率化や自動化など企業サイドの関心ばかりに注目が集まりがちで、国民の日常生活におけるデジタル技術の変革に関しては、国際的に見てもまだまだ低位の状態にあると思います。
デジタル先進国中国では、消費者ニーズに訴求する超高度なサービスが5G通信の活用によって、もはや生活がデジタルから切っても切れないものになりつつあります。
中国のDXと対米関係
中国のDXが急激に進化すると米国は、ドルに対抗する中国の人民元として捉えるようになりました。
中国は習近平という強力なリーダーを擁し国家や経済が運営されています。
特に深圳特区はアジアのシリコンバレーと称されテンセントやファーウェイ等のIT企業の本社があります。
アメリカのリーダーシップを凌駕する勢いの中国を目の当たりにして米中対立が浮上してきました。
アメリカは第二次世界大戦後に世界一の金保有国となりました。
それをベースにしてドル本位制を敷き世界の覇権を掌握しました。
その後アメリカにチャレンジしたのが1980年代の日本であり、次に対抗したのがユーロに通貨統一したEUだったのです。
現在は、一帯一路構想を引っ提げ経済圏拡大を図る中国なのです。
まさにマネー戦争は覇権争いということです。
ドル本位制にチャレンジした円とユーロだったのですが、今やドル対人民元の勝負に移行しています。
中国のDXが日本にもたらす影響
日本は、デジタル後進国という汚名を払拭しなければならないと思います。
遅ればせながら、2018年9月7日に経済産業省が発表したDXレポートにおけるDXとはマイナスを0に戻すための施策にしか過ぎません。
デジタル先進国中国においてはデジタル技術を応用して新規の経済圏が拡大し新しいビジネスが発生しています。
中国におけるDXとは0から1を生じるだけでなく、1を100に発展させるほど進化し続けています。
テクノロジーを駆使して人々の生活環境やビジネスをより便利にするのがデジタル・トランスフォーメーション(DX)なのです。
日本においても新型コロナを契機としてキャッシュレス決済が進み、オンラインでの診療や電子署名への転換が徐々に開始されたが、DX先進国と比較すると残念ながらかなり遅れています。
国民に銀行口座を普及させるより、スマホでデジタル決済させる方がコスト、スピード、犯罪防止等の面で優位なのです。
それゆえに、途上国のような銀行が未発達という弱点がよりデジタル決済を加速させたのは歴史的アイロニーです。
中国が世界最先端のキャッシュレス国家になったのもこのような側面があったがゆえだと思います。
今や中国のどんな片田舎でもアリペイやウィーチャットペイが使用されているのには驚嘆するばかりです。
お金のデジタル化はDXのカナメですので、それに付随して様々なサービスが発達していくのです。
一方、立ち遅れた日本が先進国として発展していくためには、イノベーションの基礎や人材をサポートして国際標準を確立するのだという意識転換すなわちマインドセットが必要不可欠です。
中国のDXと世界経済
中国の世界経済の中での立ち位置ですが、目を見はるものがあります。
中国社会においてはオンライン決算、キャッシュレスサービス、カーシェアリング、オンライン医療システム等様々な分野でのデジタル化が世界に先んじて進行しています。
DX関連特許の出願件数も群を抜いて突出しています。
中国からの出願は約200,000件で全体の4割以上もあり最大の存在感を誇示しています。
2010年代半ば以降は単年出願件数が急増しているのです。
まさに中国はデジタル大国になりつつあるのです。
これは中国政府が強烈にデジタル大国化を推進する政策が功を奏しているのです。
2015年に中国政府によって発表された「中国製造2025」です。
この発表の中で人工知能IoT等の次世代情報技術と製造業との融合が図られ、今までの製造大国を製造強国に押し上げるという決意がなされました。
中国のDXの歴史的考察
中国のデジタル化の歴史を概観すると、
まず1985年にキャッシュカード、クレジットカードの運用が開始されました。
1999年にはオンラインモールの運用が開始され
2002年に銀聯(クレジット会社)が創業しました。
2003年に淘宝(TAOBAO)が同年にはアリペイの運用が開始されました。
2010年にQRコード決済の運用が開始され、
2013年にはスマホ決済の運用が開始されました。
キャッシュレス化が急伸したのはアリババが開発した決済アプリ「アリペイ」と、テンセントが開発したチャットアプリ「WeChat」です。
日常生活のキャッシュレス決済で対応し、さらには「現金NG、キャッシュレス決済のみ」という店舗もあるほどキャッシュレス決済がスタンダードになってきています。
まとめ
中国のDXの進化はめざましいですが、こういった進化ばかりでなく、DXによって貧困や経済格差の解消さらに高齢化問題の課題解決など着実に前進しています。
こうして、社会問題が解決して中国の成長の原動力となっているのです。
しかしながら、日本の場合はデジタル化を今だけ金だけ自分だけという強欲資本主義の草刈り場にならないように注視すべきだと主張する言説もあります。
デジタルファシズムの足音が聞こえてくるような気がするのは杞憂に過ぎないのでしょうか。
物事には正と負の側面があります。
DXも例外ではないと思いますので、あまりに正の部分だけ見て目を曇らせないように気をつけなければならないと思います。
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