格差是正の中国について
中国の格差問題は、喫緊の課題です。
習近平国家主席は「共同富裕」という言葉で、格差是正の意思を明確にしています。
中国は、起業家と高所得者に対して社会へ富を還元することを呼びかけました。
李克強首相、中国人民政治協商会議全国委員会主席の汪洋、各省庁関係者が集まり、中央財経委員会第10回会議が開催されました。
この会議の中で、中流階級を増やし低所得者を減らす富の偏在性を解消していく方向に舵を切るということです。
【貧富の差の拡大は、為政者の求心力を低下させる】
中国・習近平国家主席にとって、国民の所得格差の是正は喫緊の課題。とはいえ、富裕層の一つである共産党幹部に手を付けることはできません。そのため、アリババやテンセントなどのIT先端企業への規制強化や資金調達… https://t.co/cEtWDOcD4S— ダイヤモンド・オンライン (@dol_editors) August 31, 2021
格差是正の中国における評判
中国の格差是正は、果たしてうまくいくのでしょうか。
中国当局は収入分配の秩序を立て直し、高収入層個人と企業が社会に貢献するように誘導しそれを促すと主張しています。
習近平国家主席の目指す「共同富裕」社会の実現のためには、高収入層の個人や企業をターゲットにするということです。
格差是正の中国への影響
中国が本気になって、所得分配を強化する政策を推進するようです。
習近平国家主席は、党中央財経委員会を開き、共同富裕に向けて富の配分を強化する方針を確認しました。
①労働市場②税制③自主的な社会への還元
なる三段階で、分配の仕組みを変えるという大胆かつ画期的な試みです。
①の労働市場ですが、ギグワーカーや出稼ぎ労働者などに焦点を当て、労働分配率の向上を目指しているのです。
②の税制での再分配ですが、税の累進性を検討して、日本の固定資産税に該当する不動産税を導入したり、さらに相続税も検討しているようです。
③の自主的な社会への還元ですが、さっそくネット大手のテンセントは「共同富裕特別計画」に500億元(約8,500億円)の寄付を申し出ています。
従来中国共産党政権は、独占禁止を謳い、ネット企業を含む特定の業種に厳格に対処してきましたが、さらに一層拍車がかかると思います。
格差是正の中国での役割
これからの中国の政治日程
2021年 | 共産党創設100年 |
2021年7月 | 小康社会(ややゆとりある社会)の全面的実現を宣言 |
2022年2月〜3月 | 北京冬季オリンピック |
2022年 | 第20回党大会 |
2027年 | 軍創設100年、第21回党大会 |
2035年 | 共同富裕が顕著な実質的進展、1人当たり国内総生産(GDP)を中等先進国並みに |
2049年 | 建国100年、共同富裕を基本的に実現 |
格差是正の中国での安定
中国政府が目指す共同富裕社会とは、安定した社会を創設することで善政であるはずです。
習近平国家主席は、来年から3期目の政権を明らかに意識しているようです。
習近平国家主席は、中央財経委員会での演説の中で「共同富裕は社会主義の本質的な要求だ」と述べました。
格差是正に真摯に向き合って、寄付の仕組みを通して高所得層と高収入企業に対して、社会へ還元することを奨励しています。
中国共産党は建国前に地主から土地を取り上げ、貧農に分配して勢力を伸ばしてきたという歴史があります。
今回も富裕層と大企業から寄付という形を迫るのではないでしょうか。
まとめ
2000年以降、中国は年8%以上の高度成長を続行してきました。
しかながら、農村部は都市部に比べて所得水準の向上がかなり遅れてきました。
それで中国政府は生活補助金を投入してきました。
その結果、約1億人の年収4,000元(約7万円)未満の人民が脱貧困化したようです。
まだまだ富の偏在は大きいようです。
それで中国政府は本腰を入れて、2021年から5ヶ年計画で国民全体が豊かになる「共同富裕」を掲げて行動計画の策定を検討するようです。