はじめに
10月7日に米トランプ政権は
中国の監視技術に対して、
28団体・企業に輸出禁止措置を課すと
発表しました。
この措置は
中国の人権問題に切り込んだり、
次期大統領選でライバルの
バイデン氏を念頭に
置いてもいるようです。
当然のことながら、
中国は内政干渉だと反発しています。
禁輸措置該当の主な中国企業
①ハイクビジョン
監視カメラの世界シェアが首位で、
欧米やインドに拠点があります。
②ダーファ・テクノロジー
監視カメラの世界シェアが2位で、
海外売上高比率は3割強です。
③センスタイム
自動運転向けの画像認識技術が
強みです。
④メグビー
中国アリババ集団などに顔認証技術を
提供しています。
⑤アイフライテック
音声認識や自動翻訳技術の中国大手です。
これらの企業は、中国に監視社会化を
もたらしたとでもアメリカは、
考えての措置なんでしょうか。
確かにそのような側面もあると思います。
しかしながら、大多数の人々に便利さを
もたらした部分もあります。
人権問題について
アメリカは、中国が新疆ウイグル自治区で
イスラム教徒を弾圧していると批判して
人権問題でも中国を
追い詰めようとしています。
今年7月の国連人権理事会で
EU諸国や日本などの
加盟22ヶ国が人権侵害の停止を求める
共同声明を発表したばかりです。
アメリカが経済制裁のカードとして
人権問題を持ち出すと、
中国は決して妥協出来ない交渉テーマだと
思います。
中国外務省も案の定「米国は中国の内政に
干渉し、利益を損ねようとしている」と
コメントし、反発しました。
米中貿易戦争が人権問題にまで拡大して
いけば、ますます混迷し
泥沼化していくのではないかと思います。
バイデン問題について
アメリカが禁輸措置を課した企業のうち
メグビーには、バイデン氏の次男
ハンター氏の関連投資会社が
出資しているのです。
2020年の大統領選の民主党予備選でトップを
走るバイデン氏を、
トランプ大統領は、警戒しているのです。
トランプ大統領は、「中国はバイデン氏の
問題を調査すべきだ」と公に求め
発言しているのです。
中国から問題提起
中国は、西欧の民主主義を手続きが
手間暇かかると考えているかのようです。
それで、民意というものは無視し、選挙という
コストばかりかかる民主主義を
払拭しているかのようです。
その結果、実に効率的に経済政策を
決定し、推進出来たのではないでしょうか。
前述したように、アメリカが禁輸措置を
課した中国企業が、監視カメラでも
世界ナンバーワンとナンバーツーの
地位を占めているのです。
要するに、中国は今や西欧の価値観を
動揺させているのかもしれません。
①民主主義で派生するコストは
非効率、②個人のプライバシーの
大切さなるものは
デジタル化がもたらす
恩恵に勝てるのか という
2つの大きな命題を突きつけています。
最後に
監視社会というと、
すぐにジョージ・オーウェルの『1984年』が
想起されます。
どうしても、中国に関しては、
負の側面から見る傾向があります。
中国社会が日本社会に比べて遥かに
劣っていて、住みにくいのかと
問われたら、即座にイエスと答えられない
自分がいます。
今の日本の状況を見回すと、
即答出来ない欠陥が垣間見られるからです。
アメリカが人権問題をカードにして
貿易戦争で優位に立とうとしていますが、
果たしてどうなることか不透明です。