はじめに
先日、尼崎のMOVIXで、
クリントイーストウッド監督主演の
「運び屋」を鑑賞してきました。
彼は、11年というブランクがあったのですが、
ある記事を読んで、
俳優魂に火がついたそうです。
それは、90歳の運び屋のことが
掲載されていたという
「ニューヨークタイムズ・マガジン」
の記事です。
さて、主人公アール・ストーンを演じるのが、
クリントイーストウッドです。
「運び屋」前半の概要
2005年朝鮮戦争の退役軍人アール・ストーンは
デイリリーの栽培で、評価されスターのような
存在だったのです。
仕事一筋で、家庭を
顧みることがなかったので、
居場所がない状態でした。
12年後、インターネット通販の影響で、
デイリリーの売り上げが激減して、
自宅も農園も差し押さえられてしまうのです。
時代に翻弄され、家族からは相手にされず、
孤独の中で生活せざるを得なかったのです。
ある日のこと、町から町へ走るだけで
カネになる仕事を紹介されるのです。
家族と関係修復のため、お金が必要だったので
その仕事を引き受けることになるのです。
メキシコ国境テキサス州エルパソの
タイヤ屋で荷物と携帯電話を渡されるのです。
長距離移動で荷物を無事に運ぶと、
法外な報酬を貰えるのです。
怪しげな男たちとの仕事で手にした大金で、
孫娘ジニーの結婚式を援助したり、
古いトラックを新車リンカーンに
買い替えたり、差し押さえ中の農園を
取り戻したりするのです。
また、退役軍人会に2万5,000ドルもの大金を
寄付したりもするのです。
アールは、3回目に運ぶ途中で、
荷物が大量のコカインであることを
知るのです。
メキシコの麻薬カルテルの運び屋に
なっていたのです。
やがて一度に282キロものブツを
運ぶという新記録を出し、メキシコの
麻薬カルテルのボスであるラトンの
豪邸に招待され、歓待されるのです。
「運び屋」の後半部分について
主人公を追い詰めていくDEA(麻薬取締局)
捜査官ベイツは、ニューヨークとワシントンで
手柄を立て、シカゴ支局に移ってきたのです。
麻薬カルテル末端の構成員のひとりを
情報提供者に仕立て、ドラッグ流通ルートを
解明しようとするのです。
アールは、淡々と運び屋の仕事を
こなすのですが、
ある日突然連絡不通になってしまうのです。
麻薬カルテルの連中は、
必死に彼の行方を探すのですが、
6日経っても彼を発見出来ないのです。
実は、アールの一番の理解者である
妻メアリーが癌に蝕まれ
瀕死の状態にあったのです。
それで、アールは仕事を放り出して、
妻メアリーの所に居たのです。
逮捕直前に、アールは
やっと気付いたのです。
人生で一番大切なものは、
家族だということを。
あまりにも遅すぎた気付きだったのです。
90歳の運び屋が最後に発見した大切なもの。
衝撃の真実が明らかになるのです。
老妻の最後を看取った結果として、
組織の指令違反で半殺しか、粛正されても
おかしくないのに、顔面を殴られる程度で
済んだのも家族を大事にする
メキシコカトリック信仰の
せいかもしれませんね。
最後に
この映画のテーマは、なんだろうと
考えると、やはり家族愛ということに
なるのでしょうか。
90歳の運び屋という前代未聞の
アウトローが、人生の最晩年に
到達したものは、結局は、実に
簡単なようで、なかなか得難い「家族愛」
であったということです。
日本では、最近は人生100年時代と
よく言われます。
それで私たちは、つい何か大事なものを
スルーしてしまいがちです。
実は、仏教用語に
「依正不二」という言葉があります。
それは、我々の周りにあるものは全て
自分を映す鏡であるという意味です。
周りを変えると思うのではなく、
変えられるのは自分だけと考え、
主体性を持たなければ
ならないということです。
この映画にもあるように、
アール自身が変わることで、
最も重要な家族愛を得ることが
出来るのではないかという
問題提起を
されているのではないでしょうか…