はじめに
中国の商業不動産大手である
大連万逹集団が資産売却を
加速化しているのは、
どういうわけなんでしょうかね。
中国の景気減速とアリババ集団などの
ネット通販の台頭によって、
経営が暗転しているのでしょうか。
私も中国山東省煙台市の万逹は、
馴染みだったので、気になります。
万逹の草創期
1988年の万逹の創業開始以来、
中国経済の急激な成長に、乗じて、
万逹は、業容が拡大していったのです。
さらに、中国政府の海外M&A(合併・買収)を
奨励する「走出去(海外に打って出る)」流れにも
乗ったのです。
万逹の飛躍発展
そして、2012年アメリカの大手映画館チェーン
AMCエンターテインメント・
ホールディングスを26億ドル(約2900億円)で
買収して、世界の注目を浴びたようです。
それから、映画制作会社、
トライアスロン運営会社、
サッカーチームなどを買収して、
なんと買収額は、200億ドルを
超えたそうです。
中核子会社の商業不動産会社を香港取引所に
上場しました。
こうして、王健林董事長は、アジア一の
富豪に登りつめました。
万逹の衰退期
万逹は、買収資金の多くを金融機関から
調達していました。
それで、有利子負債が、一時期
2千億元にまで膨らんだのです。
強気な王健林董事長は、
「買い続けるまでだ」と発言しました。
株価が低迷すると、
上場を廃止したりしました。
万逹の転落の始まりは、
2017年夏に、中国当局が資金流出に
懸念を示し始めたのです。
それで、海外M&Aにブレーキをかけたのです。
特に、万逹への融資制限を金融機関に
通達したのです。
こうして、万逹は、資金通達の道を
断たれてしまったのです。
行き詰まった万逹は、
2017年7月にホテルやテーマパークなどの
資産を同業者に切り売りしました。
さらに、アリババなどに、株式の
一部を売却したりしました。
それでも、2018年12月期の
不動産事業は、前期比35%減となり、
総資産は、ピーク時より2割減と
なってしまいました。
ついには、万逹は、2019年2月12日に、
百貨店事業を家電量販大手の蘇寧易購集団へ
譲渡したのです。
蘇寧易購集団は、万逹の37店全てを
譲り受け、ネット通販との融合等で、
立て直す方針だとのことです。
最後に
万逹は、果敢な海外投資で注目され、
それなりの成果をあげていたのですが、
中国当局の締め付けで、
経営が急速に暗転していったようです。
まさかの展開に、万逹の経営陣に
とっては、晴天の霹靂だったに
違いありません。
栄枯盛衰とは、このようなことを
指すのでしょうか。
祇園精舎の鐘の音が聞こえてくるようです。