はじめに
1月21日中国の新華社通信によると、
広東省の南方科技大の賀副教授が
ゲノム編集技術を使用して、
双子の女児を誕生させたとのことです。
さらに同技術で別の女性も妊娠中だと
判明したそうです。
倫理的に問題があるので、中国でも
法律違反で、
処罰される見通しのようです。
ゲノム編集とは
ゲノムとは生物の全遺伝情報のことです。
そのDNAは、A、T、G、Cの
4種類の塩基が二つずつ対になり、
二重螺旋状に繋がって構成されています。
人間は、約30億塩基対もあるそうです。
このゲノムの中には、多種多様なタンパク質
造成ための指令を出す遺伝子が
織り込まれているようです。
ゲノム編集は、この塩基の並びを、
ワードソフトで編集するかのように、
自由に書き換える技術だそうです。
遺伝子を切断するはさみ役の酵素と、
その酵素を目的の所まで連れて行く
RNAがセットになっているそうです。
そうして、はさみでDNAの2本の鎖を切断して
目的の遺伝子を壊したり、
切断したあとに、新たな遺伝子を
組み込んで、編集するようです。
その精度や効率の高さは、
今までの遺伝子改変技術より
はるかに優れているそうです。
今回、賀副教授達が使ったのは2012年の
技術で、安価で簡便で
飛躍的に普及したようです。
農畜産物の改良研究や生命科学の
基礎研究など幅広い分野で
使用されているとの事です。
医療分野でも、遺伝性疾患を対象に、
患者の体から採取した細胞を
ゲノム編集して体に戻す、
または患者の体内で編集してから、
治療する研究が、各国の大学や研究機関、
ベンチャー企業によって
進められているそうです。
ゲノム編集の倫理的問題とは
しかしながら、卵子や精子、受精卵といった
生殖細胞を対象とするとなると
話は違ってきます。
生殖細胞は次世代に遺伝情報を
引き継ぐための細胞であり、
その操作の影響は子や孫、
さらに先の世代にまで及ぶからという事です。
とりわけヒト受精卵は、
子宮に戻して着床すれば
人の誕生につながる生命の萌芽でもあり、
研究目的であっても安易に
扱っていい細胞ではないという事です。
賀副教授が非難を浴びた理由の一つは、
国際的な合意を無視し、
実際に人を誕生させる重大な研究を
秘密裡に進めたのが理由だそうです。
またヒトゲノムの改変が倫理的に許されるのか、
という根本的な問題があるようです。
親が望んだ容姿や能力を持つ
デザイナーベビーや、
特定の能力を強化する
エンハンスメントにつながる
恐れもあるようです。
その先に待つのは、優生思想や、
遺伝情報の優劣に基づく
新たな差別が蔓延する
社会かもしれないということです。
まとめ
ヒトラーナチスのような優生思想が
再現しないように人類は、
今後も、ゲノム編集技術に関しては、
目を光らせていかなければならないと
思います。
賀副教授のように、秘密裡に実験する事が
出来ないような法整備も
必要不可欠かもしれないです。
中国と賀副教授の動向に注目したいものです。