北一輝の3つの著作に共通する政治思想

国家、社会、個人

北一輝の3つの著作に共通する政治思想が純正社会主義であるとすると、

純正社会主義の核心になる部分は、近代国家としての公民国家のシステムを

どのようにするかという点にあると思われる。

ここで近代国家あるいは公民国家のシステムの性格は、

主に、国家、社会、個人のそれぞれの権利や義務、役割、それぞれの関係を

どのように規定するかで決まると思う。

北一輝の公民国家論あるいは純正社会主義の核心的な部分も、

主に国家、社会、個人をどのように位置付けるかに帰結されると思われる。

それ故、北一輝の3つの著作における政治思想の核心である純正社会主義を、

近代国家システムでの国家、社会、個人といった観点からみることによって、

彼の全体の政治思想を客観的かつ総合的に捉えられると思われる。

本論の目的は、このような視角で、3つの著作を考察し、

彼の純正社会主義の本義とは何か、彼の政治的活動が目指した目的とは

何であったかを政治思想の面から探ってみることにする。

3つの著作

①『国体論及び純正社会主義』の著作の考察では、

北一輝の政治思想の根幹になる純正社会主義を説明しており、

近代国家システムにおける国家、社会、個人のあるべき姿を提示している。

この面でこの著作からは、北が目指した公民国家における国家の役割や、

近代的社会と個人のありかたがどのようなものであったかがわかる。

②『支那革命外史』では、主に北一輝の国家観を明確に見る事ができる。

特に日本や中国をめぐる緊迫する国際情勢の中で、

彼の主張する日本の取るべき外交戦略とは、

当時の日本の権力者たちとのそれとは異なる点が多い。

その違いは彼独特の国家観であり、

彼の純正社会主義における国家観を浮き彫りにしている。

その違いから彼の中国革命の参加の理由や彼の支那革命外史を書いた

目的を適切に説明することができると思われる。

③『国家改造案原理大綱(日本改造法案大綱)』では、

偏局していた当時の近代国家システムをたてなおすための、

国家、社会、個人の役割や諸権利、

あるべき姿についての実践法案を述べた著作とも言える。

この著作をこのような観点から見る事で、

彼の政治思想の本義と彼の政治的活動を正確に理解し、

政治思想的に評価する事もできると思われる。

一方、政治的活動の結果を主に見て彼の政治思想の内容を解釈するのは、

彼の政治思想の本義を誤る可能性が高いと思われる。

国家、社会、個人といった3つの観点から政治思想の本義を明確にし、

その上で彼の政治的活動の理解をも試みたい。

純正社会主義

ここで、北一輝の3つの著作の中には、

純正社会主義といった彼独特の国家、社会、個人観が同様の内容で共通している。

したがって、彼の政治思想を純正社会主義における

国家、社会、個人の観点から考察する事は、

彼の政治思想の本義(や政治活動の目的の真相)を

正確に理解するのに最も効果的であるといえる。

ABOUTこの記事をかいた人

長年教育の場で、働いてきました。 前半は、日本の小学校で、 後半は日本の高校、日本の大学、 中国とベトナムの大学で日本語教師という風に! 今年2018年6月に日本に帰国しました。