ベトナムダラット大学での日本語教育

ベトナムダラット大学での作文指導

私は2017年8月から2018年6月までベトナムの

ダラット大学で日本語教師として赴任しました。

ダラットは日本人にはなじみの薄い所かもしれません。

でも多くのベトナム人にとっては、新婚旅行のメッカであり、

気候温暖な常春の美しい高原地帯というイメージが強い場所です。

このような素晴らしい環境の中にあるダラット大学で日本語を教えていました。

このベトナムダラット大学で、2年生と3年生の会話・聴解・作文を担当しました。

特に作文指導には力を注ぎました。

毎回課題を出し、回収後、自宅で100名以上の作文に朱を入れました。

ベトナムは日本や中国のような漢字圏ではなく、

アルファベット文字を使うので、漢字を覚えるのが、大の苦手です。

朱を入れた作文を返却し、個別指導をしていきました。

これは思いもよらず、大変な作業でした。

自宅での作文添削もかなりの負担ですが、個別指導は時間もかかるし、

頭を掻きむしるほど、酷使するので、長くやると後頭部が痛くなるほどでした。

授業時間午前7時から10時半の中において、最後の方で、

作文指導をしたのですが、午前11時、11時半と時間延長することも多々ありました。

でも、真面目に大多数の学生が取り組み、指導についてきたので、

年度当初に比べて、文章力がめまぐるしく向上したと思います。

個別指導後、清書した作文を提出させました。

なかには浄書までさせた場合もありました。

以下に、その成果が著しく向上した学生アインさんの作文を紹介します。

作文学習の努力のあとがにじみ出ていて、感動させられました。

 

過去と未来

お祖母ちゃんは高校で歴史を教えていた。

いつも歴史は過去と未来を繋ぐと話していた。

お祖母ちゃんのおかげで、私はベトナムの歴史が好きになった。

子供の頃、寝る前に、お祖母ちゃんは子守歌を歌う代わりに、

戦争の様子や自分の苦い経験について話してくれたものだ。

お祖母ちゃんの話によると、「平和な時代に生まれて育っても、

一旦戦争になると、戦争は多くの罪のない人の命や大切な家族を

奪ってしまう。

戦争で、多くの人が母国を離れて新しい環境に移った。」とわかった。

やはり、戦争は非常に残酷だと思う。

それで、ベトナムを守った英雄へ感謝の気持ちを伝えたい。

しかし最近、「歴史なんて過去は過去だけだ。現在のような国際社会では、

歴史は外国との関係を妨げるものだ。

それで、学校での歴史の授業は不要だ。」という意見がある。

私はこの意見に反対する。

学校では、国際的な視野で歴史を学ぶことが大切だと思う。

国際交流の場では常に自分の国の文化や習慣、そしてその歴史について

知識が問われるからだ。

母国の歴史について話せなければ、相手の国を理解することも難しい。

そればかりか、相手の信用を得ることもできないからだ。

一方、歴史を学ぶことで、母国と争った国が嫌になるとは限らない。

それで、外国との関係を妨げると言うべきではない。

また、歴史のおかげで私のような若者は自分の命や

自分の国を尊重するようになる。

そのため歴史教育こそ、学校で優先させるべきだと思う。

私の夢は歴史の大切さとメッセージを次の世代へ伝えていくために、

お祖母ちゃんのような教師になることだ。

 

ABOUTこの記事をかいた人

長年教育の場で、働いてきました。 前半は、日本の小学校で、 後半は日本の高校、日本の大学、 中国とベトナムの大学で日本語教師という風に! 今年2018年6月に日本に帰国しました。